2018/10/07 21:44
私は殺陣のある演劇をよく観ていた時期がありました。自分でもそういった舞台の作り手側にまわった経験もあります。そのときに、少し残念に思ったことがありました。(この画像に写っているのは私ではありません)
甲冑があまり出てこないのです。戦国ものの舞台作品なのだから、戦闘シーンぐらい鎧兜を着てほしいものです。でも、出てこない。
理由は分かります。つくり方が分からない。そりゃぁそうですよね、甲冑なんて普通に生きてたらつくりませんから。だから衣装は着物系で妥協する。正直、悲しかったです。
「ホントはもっと戦国チックにしたいのに・・・」「でも、しょうがないか・・・」
そんな思いがうずまいていました。
でも、それをつくれるようになった今、ぜひとも過去の自分と同じような思いをしている方に届けたいです。
【プレート・紐の配色で印象が変わる】
プレートの色・紐の色によって好みが分かれるようでして、この金甲冑黒糸毛引威(きんかっちゅうくろいとけびきおどし)は派手さとともに、地位の高さを演出するのに向いています。いわゆる大将格といった感じです。
(もちろん演劇などで着用の際、一番影響を与えるのは役者さんの役づくりです)
ズバリ!軽さです(^_^)
女性が着ても動けるようにと、軽くつくられております。本物の重い甲冑を着るのに比べ、殺陣やアクションをする際に有利です。
また、兜の内側の布はマジックテープで貼られており、外して洗濯することができます。私は戦国好きなので甲冑試着体験にお客として着させていただいたことがあるのですが、
正直・・・
汗くさかったです( ;´Д`)
せっかくこういったものに興味を持ってもらいたいという思いでやっていることなのに、これでは逆効果では?( ;´Д`)
イヤですよね、そんなの(^_^;)
なので、そういったことも考慮してつくりました。
もちろん観賞用でも構いませんが、戦国ものの作品を上演する舞台関係者さんやコスプレイヤーさんに使っていただきたいです。そして当然のことながら、大切に扱ってくださる方に使っていただけましたら幸いです。
女性でも無理なく動けるようにと軽くしたかったので、プレート部分の材料は厚紙でつくられております。1.4mmと厚みはあり、負荷がかかる部分を強化したりはしてありますが、それでも丁寧に扱わないと壊れます。
水に弱いので、雨や汗にも気を配ってくださる方に使ってもらいたいです。
ぶっちゃけますと、これをつくるのに50時間かかっております。最初につくったときはもっともっと時間がかかっていたのですが、いろいろと試行錯誤しているうちに50時間でつくれるようになりました。
そんなこんなで、ものづくりをするようになってしばらくした頃、「できるだけ手間暇かけずに良い作品をつくるにはどうしたら良いだろう?」ということを考えるようになりました。
いくら好きでつくっているとはいえ、何十時間もかけて1作品ではスピードが遅いと感じるようになったからです。
どこかに何かヒントになるものはないかな~と、気づけばいろいろなものを観察するような目で見るようになりました。
【余談になるかもしれませんが・・・】
戦国好きということもあり、あるとき本物の刀打ちを観にいきました。超高温に熱された鉄のかたまりを火花を散らしながら何度も何度もハンマーで打ちつける作業。これは鉄のなかに含まれる不純物を少しづつ少しづつ取り除く作業とのこと。
さらには折り曲げては圧着し、折り曲げては圧着する(折り返し鍛錬)。いくら高温とはいえ、金属を人力で曲げるのは容易ではないでしょう。でもそれをすることによって、よりより高品質の刀ができあがるそうです。
もちろんこの作業も、刀ができるまでの1工程に過ぎません。いろいろな工程を経て、丹念に丹念に仕上げていきます。そして一振りの刀が出来上がるのに、早くても半年かかることを知りました。驚いたのとともに、「そりゃぁそれぐらいかかるよな。」という思いを抱きました。これだけ丁寧に丁寧につくりあげるわけですから。
それらの工程や作り手さんのことを考えていたら、ふと腑に落ちるものがありました。
・・・そうか。手間暇かければいいんだ・・・
と。
はい(*゜▽゜*)
矛盾してますね(*゜▽゜*)
「できるだけ手間暇かけずに良い作品をつくるにはどうしたら良いだろう?」
という問いの答えが、
「手間暇かければいい」
ですから(^_^;)
もちろん無駄な部分をどんどんはぶき効率の良い作品づくりを心がけますが、私にとってこの経験は大いなる指針となりました。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。心より感謝申し上げます。